空き家問題を考える
- respectohadano
- 2 日前
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更新日:14 分前
先日、僕が所属する環境都市委員会で、岡山市の空き家対策について、視察を行いました。
地方自治体が「空き家問題」を本当に“根本から”解決するには、下記の4層構造(具体的には12の施策)で取り組む必要があると考える。
①発生させない
②流通させる
③撤去・再生する
④仕組みを変える
①「そもそも発生させない」
空き家問題の約8割は 相続放置が原因です。
そのため、最も効果が高いのは 相続発生前からの介入。
● 1.「生前の空き家対策」制度の創設
・実家管理診断
・将来的な売却・賃貸の選択肢を家族と話す「実家会議」の公式化
→ 府中市・武蔵野市などが導入し成果。
● 2. 空き家化しそうな家を“特定”して事前に支援
固定資産税の支払い状況・居住実態・要介護認定などから、「空き家予備軍」をAIで抽出 → 早期訪問。
● 3. 高齢者の「自宅維持困難」を早期キャッチ
介護・包括支援センターと連携して、“住み続けられない” の兆候を把握
→ 相談につなぐ。
②「空き家の流通を止めている構造をこわす」
最大のボトルネックは、
●相続人が多い
●連絡がつかない
●登記が古い(所有者不明家屋)
● 4. 相続登記義務化を地元で徹底サポート
(2024年義務化済みだが浸透していない)
自治体が「相続登記支援センター」を設置して、司法書士の無料相談+書類準備支援を一体化。
● 5. 空き家の情報を“1枚の台帳”に一元化
税務 → 福祉 → 都市計画 → 固定資産 → 住民情報
これらの縦割り情報を統合し、「空き家台帳」を職員全員が使えるようにする。
● 6. 空き家を“売れる状態”にする自治体主導のプロデュース
現況調査
法務(相続・境界)
清掃・残置物撤去
リフォーム見積り
を自治体がワンストップで済ませられる体制
(例:山口県周防大島町の「空き家再生スキーム」)
③「撤去・再生をシステム化する」
● 7. 解体費の補助だけでなく「定額解体パッケージ」
補助金申請・見積り比較・契約までを自治体が支援して、「定額で壊せる仕組み」を整える(例:長野県伊那市)。
● 8. 市営「公民連携リノベーション」の強化
老朽化した住宅を 市+民間+NPO が再生して
・移住者向け住宅
・子育て世帯用シェアハウス
・カフェ+コワーキング
に転用。
● 9. 空き家を地域の公共財に変える
地域コミュニティ施設、子育て拠点、学童クラブなどに転用。
(補助金:地域活性化・まちづくり交付金など活用)
④「空家を減らす仕組みそのものを減らす」
最も本質的な部分。
● 10. 固定資産税制度の見直し(国と協働)
現行制度=空き家は税優遇が残り、放置のインセンティブが強い。自治体としては、
「管理努力が見える家は優遇、放置は増税」
という独自制度を設計し、国へ働きかける。
● 11. 建物の寿命を「30年→60年へ」
空き家問題は“短命住宅”も原因。
長寿命化リノベの基準策定(耐震・断熱の標準メニュー化)。
● 12. 移住・二拠点生活の受け皿化
特に秦野市のように自然が豊かで東京圏に近い地域は
「空き家バンク × テレワーク移住 × 住宅補助」をセットで提供すると流通が一気に加速。
■【まとめ】
空き家問題は、「家が余る」問題ではなく、「所有者が動かない」問題。だからこそ、根本解決するには、
(1)発生前に介入し
(2)所有・相続構造を変え
(3)撤去・再生の仕組みを整え
(4)最後は制度そのものを変える
この4段階を同時にやることが大切。




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