秦野市の次世代育成アカデミー(注1)のすばらしい政策立案を紹介します。
コミュニティ型クラウドソーシング ー電子地域通貨との連携からその推進を図るー
今週月曜に3月議会が始まり、主に令和6年度予算案を審議しますが、その中でも話題となっているのが、電子地域通貨の導入予算(約2.2億円)。
行政主導にありがちな「地域通貨を導入し、地域経済を活性化させる」という曖昧な導入目的で、地域マネーも地域ポイントも両方やります、エシカル消費も促します、税金も払えるようになり、プレミアム付商品券を受け取る時には大変便利ですと電子地域通貨でできることをほぼ網羅的にあげている。
それ対して、若手職員たちが立案した電子地域通貨は、
1、生産年齢人口の減少→子育て世帯への支援充実
2、超高齢社会→高齢者が生き生きと暮らす社会
子育て世代と高齢者の協働をデジタルで可能にするコミュニティ型クラウドソーシング(注2)のための手段としての電子地域通貨。
電子地域通貨は始めるのは簡単で、お金さえ払えばシステムはすぐにできるが、導入よりも運用の方が難しく、「多産多死」と言われている。
継続のためのポイントは、経済的利益よりも非経済的利益にあると考える。そうでなければ法定通貨である「円」や大手ポイント(dポイント、nanaco、FamiPay、PayPayマネーライト、Pontaポイント、楽天Edy、WAONポイント)との差別化が難しく、出口の少ない(使えるところが少ない)ローカル電子地域通貨は利便性の面でどうしても負けてしまう。
そうではなく、あくまで「円」を補完するような、これまでは潜在化していた経済活動を顕在化するような存在でなければならない。
多くの市民が賛同できるような価値や文化や規範のようなものに支えられた電子地域通貨。
若手職員が提案しているのは、「人手不足の解消」や「地域コミュニティの再生」といった地域課題の解決へ貢献するような電子地域通貨。
例えば
スポーツ広場の雑草刈り
子供の一時預かり
日頃のゴミ出し
PTAの登下校の見守り活動
など、ポイント還元し、それを地元の商店街で使えるようにする。また、優良の働き手をゴールド市民としてアプリ上で称えるようなシステムの開発。
今、話題の「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」のコミュニティ版のようなもの。
当然、用途を絞れば、ランニングコストも低く抑えられる。
個人的には小さく始めて、小さな成功体験を積むことが大切だと考える。
秦野市提案のランニングコストは、年間5千万円から8千万円に対し、次世代育成アカデミーの若手職員提案のランニングコストは、年間数百万円を想定。
次世代育成アカデミーの政策を実現するような庁内ベンチャー制度を考えるべきだ。
(注1)
次世代育成アカデミーは、各部等の長からの推薦された職員を対象に、持続可能な行政に求められる職員の育成を目的とした研修です。(平成27年度から実施。) この研修では、3人の大学教授などから、人口減少時代における「地方財政」、「まちづくり」、「AI・ICT技術」など、さまざまな教えを受け、本市の課題等に対して、エビデンス(証拠)に基づく政策立案を行います。
(注2)
クラウドソーシングとは、企業や個人がインターネット上で不特定多数の人に業務を依頼するビジネス形態。 クラウドソーシングという名称は、「crowd(群衆)」と「sourcing(調達)」を合わせた和製英語。
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