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日赤の分娩業務再開へ向けて

昨日は予算委員会でした。秦野赤十字病院支援事業費(1億4千750万円)についてダイジェスト版と全文の両方を掲載します。


<ダイジェスト版>

分娩業務再開に向けて、新しい一手を考えるべき時

わが国の医師の分布は「西高東低」

東海大学の学士入学制度への本市独自の奨学金制度の設立を!!!


秦野赤十字病院の分娩業務が休止されて早7年が経つ。分娩業務再開に向けて本市がこの7年間に行なってきたこと整理すると、


1、産科医師派遣の要望

2、寄附講座の要望

3、院内助産


いずれも試みたが、ダメだった。政治と医学とは密接な関係にあり、ある意味、誘致合戦は「政治」。引き続き、産科医師派遣の要望は継続するとしても、新しい打つ手を考えるべき。7年やってダメだったものが、同じやり方で8年目に事態が好転すると期待する方が間違っている。


日本は今、深刻な医師不足。医師は都会に集まっているとお考えの方が多いようだが、人口あたりの医師数が最も少ないのは、埼玉県、千葉県、茨城県、神奈川県などの関東地方。確かに東京都の医師数は多いが、周辺の県は全国で最も医師が不足している状況。


わが国の医師の分布は西高東低。人口当たりの医師数は、四国、中国、九州地区に多く、関東圏が最低レベル。医師が一番足りていないのは関東地方だなんて、多くの方のイメージとは正反対なのではないか。


その理由は医師養成機関である医学部が、圧倒的に西日本に偏在しているから。


また、死亡率は、70歳代半ばくらいから急上昇する。わが国で75歳以上の人口がピークに達するのは2050年代。2010年と同じレベルに戻るには、2100年まで待たなければならない。そう考えると、今後80年間、医師不足は深刻な問題。


「分娩業務の停止」は、何も秦野赤十字病院に限った話ではない。産科医師の不足は今後、日本全国どこでも起こりうる問題。


我々は医師不足という、もっと根本的な部分に目を向けるべきなのではないか?


日本では、メディカル・スクール制度はまだ導入されていないが、一部の医学部では、社会人を対象に学士入学制度を導入している。他学部を卒業している人を対象に、3年次からの編入を認める制度が既にある。

大変ラッキーなことに、東海大にはこの制度がある。


あとはお金の問題。県内には4つの医学部がある。


東海大学医学部

横浜市立大学医学部

北里大学

聖マリアンナ医科大学


しかし、3つが私立大学で、国公立は横浜市立大学医学部の一つだけ。私立大学医学部の学費は2000~5000万円(6年間)と高く、一般人にはとても払える金額ではない。実際、国立大学の少ない関東地方では医師の世襲化が進んでいる。世襲化が活力を失わせるのは、政治の世界と一緒。


最後に「自治医大方式」をご紹介したい。自治医大の6年間の授業料は2,300万円で一般家庭の子どもが入学してくる。なぜなら大学が学生に学資を貸しているから。しかも、卒業後の一定期間、僻地に勤務すれば、返済は不要になる。


これを参考に、本市独自の奨学金制度を作ってはどうか?

市が銀行から学資ローンを受ける入学者の保証人となればいい。

銀行側にとっても、優良顧客の囲い込みになる。


私立医大にとっても悪い話ではない。授業料を下げれば、優秀な学生が集めやすくなる。近年、順天堂大学は学費を値下げし(6年間で2080万円)私大医学部の中では最も安い学費となったが、偏差値が上昇しているとのこと。


東海大学の学士入学制度への本市独自の奨学金制度の設立を検討してはどうか。


<全文>

秦野赤十字病院支援事業費 1億4千750万円


001秦野赤十字病院整備支援事業費 1億2,250万円

002秦野赤十字病院小児医療体制強化支援事業費 2,500万円


問1:002の秦野赤十字病院小児医療体制強化支援事業費2,500万円は、いつから予算計上し、どのような内容か?


答1:秦野赤十字病院小児医療体制強化支援事業費は、令和3年度から予算計上しています。秦野赤十字病院では、令和2年度まで1名であった小児科の常勤医師が、令和3年4月から3名体制となりました。それに伴い、休止していた小児科の入院診療が再開され、小児救急医療の充実も期待できます。直接的には、診療に必要となる医療機器等の整備にかかる費用に対する補助ですが、市内の診療所の支援による地域医療の充実と強化のために、支援するものです。


問2:この支援事業と分娩業務の再開は関係のないものであるという認識でよろしいですか?


答2:周産期とは「妊娠22週から生後7日未満」までの期間を指す。「周産期医療」とは、この期間中の妊産婦および胎児・新生児を対象とし,母児の生命に関わる緊急事態への対応も含む産科・小児科の一貫した総合的な医療を意味する。小児科の充実と産科の設置には関係があり、そのための支援事業である。


問3:小児科が整備されれば、産科は復活しやすくなる、小児科は産科が復活するための必要条件、だから支援しているという認識でよろしいですか?


答3:はい


問4:次に秦野赤十字病院整備支援事業費1億2,250万円は、いつまで継続されるのか?


答4:秦野赤十字病院整備支援事業費は、令和8年度まで交付することとしています。この事業費は、秦野赤十字病院が、現在の「立野台」に新築移転する際の病院建物や医療機器の整備に要する経費等を補助対象としていますので、令和8年度で終了となります。


問5:秦野赤十字病院の分娩業務が休止し7年が経つが、この間、どのような取組みをしてきたのか。


答5:産科医師引揚げの報告がされて以降、県、日本赤十字社神奈川県支部、秦野赤十字病院、本市で情報共有と今後の対応を話し合うとともに、派遣元の医科大学に産科医師派遣の継続を要望し、協議や調整を行いました。残念ながら、分娩業務は休止されることにはなりましたが、引き続き非常勤医師の派遣は継続され、外来での婦人科診療が続けられています。その後も意見交換を行いながら、県内外の大学医局への働きかけのほか、産科医師の派遣を受けやすくする取組みとして、寄附講座に対して、県が主体となって支援することを要望してきました。また、大学医局の産科医師の人員に余裕がない中、少数の医師による院内助産の検討や現在は、専門医から安全・安心を確保した現場態勢の確立について指摘があり、優先課題として、秦野赤十字病院が取り組む産科医師の確保に協力しています。


意見:この7年間に本市がやってきたことを整理すると


1、産科医師派遣の要望

2、寄附講座の要望

3、院内助産


問6:この7年間、いずれも試みたが、ダメだった。現在は「産科医師の確保に協力」とお答え頂いたが、具体的には何をしているのか?


答6:大学医局への産科医師派遣の要請を引き続き行なっていく


問7:この7年間に行なってきた1の産科医師派遣の要望との違いは何か?


答7:違いはない


意見:高橋市長は「切実な事情を繰り返し伝えることで、事態が好転に向けて動き出すと確信しています」とマスコミの取材にこう答えている。7年やってダメだったものが、同じやり方で8年目に事態が好転すると期待する方が間違っている。


本市のこの7年間の対応を一言で表すと「お願いします」の一点頼り、「他力本願」に見えてしまう。


もちろん政治と医学・医療とは密接な関係にある。現在も我が国の高度教育には、明治から戦前にかけての影響が色濃く残っている。明治維新で新政府ができた時に、勝った官軍の場所に国立大学の医学部や病院が多く設立された。だから日本の医療は「西高東低」。誘致合戦は「政治」なんです。

そういった意味でも、権力のある自民党さんの力で産科医師の1本づり?3本づり?を実現できる可能性が全くないわけではない。(産科医師が最低3人はいないと分娩業務の再開は難しいとされている)


しかし、政治的な関係、個人のネットワークだけに頼らず、他に打つ手はないのか?個人的なネットワークに依存した「綱渡り状態」だと、キーパーソンがいなくなると、地域医療が突如、崩壊してしまう可能性だってある。これじゃ、持続可能な社会の構築とは言えない。


また先ほどの答弁で「分娩業務は休止されることにはなりましたが、引き続き

非常勤医師の派遣は継続され、外来での婦人科診療が続けられています」とお答え頂いた。しかし、外来での婦人科診療は、分娩業務の休止を機に始まったのではなく、元々あった。

それをこの7年間の成果のように話すのは違う。


問8:これをあえて答弁に入れたということは、婦人科も産科が復活するための必要条件であるという認識でよろしいですか?


答8:はい


意見:先ほどは小児科と産科、今度は婦人科と産科、いづれも産科が復活するための必要条件だと考えられていることがわかりました。


日本は今、深刻な医師不足。医師は都会に集まっているとお考えの方が多いようですが、人口あたりの医師数が最も少ないのは、埼玉県、千葉県、茨城県、神奈川県などの関東地方。確かに東京都の医師数は多いが周辺の県は全国で最も医師が不足している状況。


わが国の医師の分布は西高東低人口当たりの医師数は、四国、中国、九州地区に多く、関東圏が最低レベル。医師が一番足りていないのは関東地方だなんて、多くの方のイメージとは正反対なのではないでしょうか?その理由は医師養成機関である医学部が、圧倒的に西日本に偏在しているから。


医師不足の話に戻しますが、ここで申し上げたいのは「分娩業務の停止」は、何も秦野赤十字病院に限った話ではないということ。産科医師の不足と出生数の低下という社会的、根本的な原因によって引き起こされた、今後、全国中でますます起こる可能性のある問題。


我々は医師不足というもっと根本的な部分に目を向けるべきじゃないのか?


問9:産科及び産婦人科医師の偏在状況について教えてください。


答9:県内の産科及び産婦人科医師の状況を、15歳から49歳の女性人口10万人当たりの医師数でみると、神奈川県では、39.1人で、全国平均の44.6人を下回っているものの、湘南西部地域では、46.5人と、県平均を7.4人、全国平均を1.9人上回っている状況です。

しかし、この地域には、若い世代の医師が多い病院や、妊婦健診等は実施していても、実際に分娩業務を取り扱わない医療機関に勤務する医師などもおり、数値だけでは実情が反映されていないと考えられています。


問10:それはこの数値には東海大学の存在が大きいという認識でよろしいですか?


答10:はい


意見:人口10万人あたりの産科医師数だと秦野市単独でのデータが見当たらなかったので、少しデータは古いですが(平成24年)人口10万人あたりの都道府県別の医師数。


一番多いのは、徳島県304人、ついで東京都303人、京都府302人

一方少ないのは、埼玉県149人、茨城県167人、千葉県170人、神奈川県195人


埼玉県の医師数は、徳島県の半分以下。これは世界的にみると、南米のチリとほぼ同水準。チリと日本では高齢化の水準が違うことを考えれば、埼玉県など関東圏で救急車のたらい回しが日常的に起こっているのもうなずける。


秦野市の人口10万人あたりの医師数は(2021年11月現在)は138人。全国平均の250人を大きく下回っている。


問11:神奈川県の人口10万人あたりの医師数は、212人(2018年末時点)と全国で39位と低いにもかかわらず、秦野市は、138人であり神奈川県の212人を大きく下回っている。まずはこの状況を「医師の偏在がある」と県はしっかり認めているのでしょか?


答11:医師の偏在に対する県の対応については、県は、医学部を有する4つの大学に、卒業後の一定期間の県内勤務を義務付ける「地域枠」を設定し入学定員を拡大して、修学資金の貸付事業を実施するなど、医師の確保や地域偏在の解消に取り組んでいます。


問12:県の修学資金貸付制度についてもう少し詳しく教えてください。


答12:指定診療科(産科や小児科など医師不足の診療科)を指定し学んだ医学生には「修学資金貸付制度」があるが、卒業後、9年間は県内の医療機関に勤務するのが条件であり、医療機関は知事が指定をすることになっている。修学資金貸付制度で36名が医師になっており、うち産科医師が11名いる。


意見:県は、修学資金貸付制度を 要望 活用し医師を医師不足地域に 派遣できる制度設計(条例)をしたが、地域偏在(県東部34名、県西部 2名)があるなど、適正な配置システムを確実に構築して頂きたいと県会議員も言っている。


死亡率は、70歳代半ばくらいから急上昇します。わが国で75歳以上の人口がピークに達するのは2050年代。2010年と同じレベルに戻るには、2100年まで待たなければならない。そう考えると、今後80年間、医師不足は深刻な問題。


医師不足という、もっと根本的な部分に目を向けるべきなのではないのか。


それには医師数を増やすしかない。どうすれば良いのか?

人口あたりの医師数は、人口あたりの医学部数、地元での医師養成数と相関関係にある。


多くの高校生は、基本的に地元の大学に進みます。東大や京大ですら、過半数が地元の学生。九大や名古屋大では地元の学生が7割を超えます。早稲田大学や慶應大学になると、約8割が関東地方出身。つまり日本人の多くは、生まれ育った地元の高校を卒業し、地元の大学に進学する。地元以外に進学するとしても、地元にできるだけ近い大学を選ぶ傾向にある。例えば千葉県の高校生が早慶に進学したり、佐賀県の高校生が九大に進学したりするようなイメージ。医師といえども「地産地消」!!


そこで今日は二つの提案をしたい。


1、メディカル・スクールの設立 


メディカル・スクールは、法科大学院の医学部バージョン。他学部を卒業した学生を対象に3年間程度の期間を費やして医師を養成する教育機関。アメリカでは一般化している。この制度の特徴は、医師を選択する前に、他の大学あるは社会人を経験している多様なバックグランドを持つ学生を集めることが可能。日本では、メディカル・スクール制度はまだ導入されていない。医学部設立には数百億円の莫大な資金が必要となる。医学部の運営には、国立、私立問わず、毎年50億円程度の費用がかかる。また、現在は医学部が附属病院を持つことを義務付けている。これでは設立するのにハードルが高すぎる。そこでアメリカのメディカル・スクールはコストを抑えるために附属病院を持つ必要がない。周囲の病院と協力して、病院実習をすることで代用可能とすれば、コストをかなり下げることができる。


2、学士入学制度への本市独自の奨学金制度の設立


日本では、メディカル・スクール制度はまだ導入されていないが、一部の医学部では、社会人を対象に学士入学制度を導入している。他学部を卒業している人を対象に、3年次からの編入を認める制度が既にある。大変ラッキーなことに、東海大にはこの制度がある!!

秦野市民で大学を卒業していろいろ経験したけど、やっぱり最後は医師になりたいって人は必ずいるはずです。


あとはお金の問題。県内には4つの医学部がある。


東海大学医学部

横浜市立大学医学部

北里大学

聖マリアンナ医科大学


しかし、3つが私立大学で、国公立は横浜市立大学医学部の一つだけ。私立大学の学費って6年間で2000~5000万円と高く、一体、誰がこの学費を誰が払えますかって話なんです。こんな大金を払えるのは、よほど裕福な家庭か開業医ぐらい。だから国立大学の少ない関東地方では医師の世襲化が進んでいる。世襲化が活力を失わせるのは、政治の世界と一緒。


最後に「自治医大方式」をご紹介したい。自治医大の6年間の授業料は2,300万円。ところが一般家庭の子どもが入学してくる。なぜなら大学が学生に学資を貸しているから。しかも、卒業後の一定期間、僻地に勤務すれば、返済は不要になる。


これを参考に、本市独自の奨学金制度を作ってはどうか?

市が銀行から学資ローンを受ける入学者の保証人となればいい!!

銀行側にとっても、優良顧客の囲い込みになる!!


私立医大にとっても悪い話ではない。授業料を下げれば、優秀な学生が集めやすくなる。近年、順天堂大学は学費を値下げし、6年間で2080万円とした。私大医学部の中では最も安い学費となったが、偏差値が上昇しているとのこと。


<本日の結論>

東海大学の学士入学制度への本市独自の奨学金制度の設立を検討してはどうか。








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