自分の収入源をきちんと知って、今後の作戦を立てることは大切です。 類似団体とは、人口規模、産業構造が本市と似ている他市のこと。 図にある(類)の数値は、全国に31ある類似団体の平均値。
<秦野市と類似団体の比較①>
2018年度(H30)歳入の体系(人口一人当たり 単位:万円)
(分析) 秦野市は類似団体の平均値と比べ、歳入規模が小さい。人口一人当たりの歳入(収入)が約4.5万円も少ない。その主な原因は3つ。
(1)自主財源である地方税が少ない(-1.4万円) (2)依存財源である地方交付税が少ない(-0.7万円) (3)依存財源であり、特定財源である国庫支出金(-0.9万円)、都道府県支出金(-0.4万円)、地方債(-0.4万円)が少ない
(課題) 国や県に関わらず、自らの努力で改善できる自主財源の確保に努める。 人口一人当たりの地方税は、秦野市14.3万円であるのに対して、類似団体15.7万円。その差は約1.4万円。
この主な原因は、人口一人当たりの個人市民税の所得割が0.8万円少ないことにある。 秦野市の人口一人当たりの市民税6.6万円の内訳を見ると、個人市民税5.8万円であるのに対して、法人市民税0.8万円と個人市民税に頼っているところが大きく、個人市民税の所得割を少しでも増やす(あるいは人口減少による個人市民税の減少カーブを最小限に抑える)ことが、今後の課題であるといえる。
(今後の対策) 今後も人口減少が想定される中、個人市民税の所得割の現状キープあるいは減少カーブを最小限に抑えるには、(中間層以上の)移住政策が有効である。具体的には、上小学校にオルタナティブ教育を導入して、教育移住を広く、受け入れていくのはどうか?
現在若者を中心に「田園回帰」の動きがみられ、自然豊かな場所で子どもを育てたいと望む若い世代の教育移住者を受け入れる。
もちろん企業誘致をしても、法人市民税の増加は見込まれる。しかし、先ほども述べたように、秦野市の市民税は(個人市民税5.8万円であるのに対して、法人市民税0.8万円)個人市民税に頼っているところが大きく、かつ本社機能をもたない企業を誘致したとしても、税収(法人市民税)のメリットは少ない。しかも、本市には都市間競争を勝ち抜くために、ある一定規模以上の企業には、4年間の課税免除をするという優遇措置まである。
闇雲に、企業を誘致すれば雇用が生まれ、地域経済の好循環が生まれるというような”幻想”、高度経済成長期と”同じやり方”をいつまで続けるのか?
企業誘致のすべてが悪いとは言わない。ケースバイケースである。 しかし、戸川土地区画整理事業のように、市内の山側に近い自然豊かな場所に、業務代行方式(誘致する企業は仲介業者に一任)、46億円もの市税を投入することが、昨今の地球温暖化、SGDs、そして新型コロナウイルスの影響なども考えると、「持続可能な開発」であるとは到底思えない。
秦野の自然を最大限に生かした新しい舵取り、「個人に選ばれる秦野」を目指すべきである。
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