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持続可能な財政について

更新日:10月7日

先日行った一般質問の原稿です。僕は事前に執行部(市の職員)からどんな内容の答弁をするのか最低限度のことしか訊きません。当日答弁を聴いて、基本的には、その場で思いついたことを話す。答弁を聴いてふと思い出したことや、普段考えていることを話す。そうすると、予想もしなかった「あらぬ方向」へ話が転がっていきます。もちろん、これが正しい質問のあり方であるなどとは思ってはいないし、ふつうの議員の方に聴いたら「こんなの一般質問じゃない」と怒られてしまうかもしれない。でも、僕が一般質問で目指しているのは、あるテーマについての問題や課題について、不都合なデータや数値を隠すことなく、真正面から本質的な議論をすることにある。だから市の幹部職員には原稿がなくても自分の言葉で、普段考えていることを堂々と語ってもらいたいと考えている。しかし、どうやら事前に用意された原稿を読み上げることに慣れきった幹部職員には抵抗があるようだが、そんなの意外にすぐに慣れると僕は考えている。というわけで、今回も時間がなくなり、最後(③まで)質問することができなかったが、これはこれだと考えている。


<内容>

①  (歳出)普通建設事業費と義務的経費の経年推移

普通建設事業をどうやって抑える?→新たな開発行為禁止


②(歳入)減少する市税

確実に税収に跳ね返ってくる施策の展開、「曖昧さ」の排除


③プランA→プランBへの方針転換(ハードからソフトへ)

バランスの問題、資源の過剰配分の是正、撤退論の前に「もがく」→ソフトランディング


資料0 一覧表

 

「最良の官僚は、最悪の政治家である」


19世紀〜20世紀、ドイツの社会学者 マックス・ウェーバーの言葉

 

官僚→「今の状態をキープしよう」という現状維持が得意


「今の状態をなんとかしよう」という方針転換が苦手

「今までのやり方は正しい」という前例主義がベースにあって、昔のやり方を なかなか変えようとはしない


政治家→方針転換をするのもの

 

かつての日本なら現状維持もアリだった

昭和の高度経済成長期(1955年からの約20年間)など、放っておいてもどんど

ん経済も人口も上向いていったので、現状維持の官僚スタイルで問題なかった


しかし、今の日本はどうか?30年以上のデフレ、失われた30年間

こういう時代に求められているのは、方針転換のできる大胆な政治

今日は本市の財政を持続可能なものにするための方針転換、プランBのプレゼン


1、 普通建設事業費と義務的経費の経年推移

資料1 普通建設事業費と義務的経費の経年推移(過去34年間)

普通建設事業費=公共事業費

義務的経費=人件費・公債費・扶助費など、必ず払わなければならない経費

「扶助費」とは、生活に困っている人、子育て世帯、障害者などの生活を社会全体で

支えるためのお金

 

令和5年第3回定例月会議 当時の石原政策部長、現副市長

「義務的経費が増加してきた要因としては、人口動態の変化に加え、社会経済情勢の動向や国の制度改正の影響などに伴い、扶助費が大きく増加しているということが挙げられます。」

 

質問1 義務的経費の増加は扶助費の増加によるものである?YES or NO

回答1 はい

 

質問2 義務的経費は今後も増える?

回答2

義務的経費は、当面の間は増加傾向で推移していくと考えています。

短期的な見通しでは、人件費において、令和6年人事院勧告に基づき、給与制度の見直しが図られ増加が見込まれます。扶助費においては、国の「異次元の少子化対策」に伴い、本年10月から拡充される児童手当が、令和7年度から通年化することなどから、増加が見込まれます。今後20年間の長期的な見通しでは、少子・超高齢社会の進行に加え、障害サービスや生活保護費の増加により、扶助費をはじめとする社会保障費は、増加を続けると考えられます。

 

質問3

歳入のパイは限られている中(自主財源はむしろ減っていて)、義務的経費の増加は避けられないのだから、今後は普通建設事業費をいかに抑えていくのかにかかっている、YES or NOの二択でお答えください

回答3 はい

 

資料2 普通建設事業費の経年推移

質問4

令和5年度の普通建設事業費の決算額は約42億4千万円であり、令和4年度に比べて、約8億6千万円、率にして25.4パーセントの増となっている。内訳を教えてください

回答4 合計6・4億円/8・6億円(増加額) 残り2・2億円

事業名

増加額

主な理由

秦野市・伊勢原市共同消防指令センター施設等整備事業費

1.8億円

 

公民館営繕工事費

1.3億円

照明設備のLED化

庁舎維持管理費

1.2億円

本庁舎の外壁改修

国庫関連通学路安全対策事業費

1.1億円

市道71号線の通学路安全対策

産科有床診療所整備等支援事業費補助金

1.0億円

アクアベルクリニックの開院

 

質問5

令和5年度決算における戸川区画整理事業に関連する事業(三位一体の事業)での総額は?

回答5 3事業の合計で約1.3億円 

戸川土地区画整理事業

3,846,700円

菩提横野線街路築造事業費

74,527,860円

矢坪沢水路整備事業費

48,081,188円

126,455,748円

 

質問6

戸川土地区画整理事業と三位一体で実施する事業の今後の費用的な見通しは?

回答6

令和14年度の全区間完了までに約65億円程度

戸川土地区画整理事業 

菩提・横野線の造成費  

矢坪沢水路整備事業費 

 

今後、この戸川地区における開発(三位一体の事業)に65億円

いよいよ「ボディブロー」が始まった

さらに秦野駅北口周辺まちづくりビジョン、新たな開発

 

質問7

普通建設事業費の短期的な見通しと長期的な見通しを教えてください

回答7

普通建設事業費の短期的な見通しでは、令和9年度の新東名高速道路の全線開通に合わせ、都市計画道路菩提横野線及び矢坪沢の整備を進めるとともに、戸川地区の土地区画整理事業を支援する必要があります。

加えて、今後20年間の長期的な見通しでは、小・中学校や公民館などの多くの公共施設が、耐用年数を迎えることとなります。さらに、2040年代には、本庁舎や文化会館などの施設も順次耐用年数を迎えることから、その整備手法などにもよりますが、今後は、多額の更新費用が必要になると見込まれます。

 

短期→開発

長期→公共施設の更新費用


質問8 

今後、どうやって普通建設事業費を抑えて行くのか?短期と長期

回答8

 

短期→起債、市債、公債費の負担増(義務的経費のさらなる増加、将来世帯への負担増)→開発禁止

長期→費用の平準化

 

質問9

「自主財源の根幹である市税が増えるまで、原則、新しい開発行為は禁止する」

回答9

 

「古い井戸に水があるのに、新しい井戸を掘るのはやめた方がいい」 

 

パリオリンピックの会場コンセプト→「持続可能性」と「歴史的遺産」を重視

原則、既存インフラの活用、95%の会場が既存もしくは一時的な設置によるもの

またパリ市内及び周辺への一極集中の会場設計 

今後の「街づくり」において、とても参考になるコンセプト

 

もう時代は折り返している

なのに

方針転換ができない秦野市政

 

高橋市政も7年目、結果が問われる時期


2、減少する市税

資料3 歳入決算額の推移(一般会計)」H26~R5


質問10 歳入における1番の問題点、課題は何でしょうか?

回答10 

 

過去10年間、歳入約107億円増(公会計においては原則、歳入と歳出は一致)

しかし、歳入の根幹をなす市税は約10億円減

その結果、歳入総額に占める自主財源比率(49.7%)県内16市中ワースト3位

 

資料4 平成15年度歳入構成費(20年前)

資料5 平成25年度歳入構成費(10年前)

資料6 令和5年度歳入構成費(現在) 

「歳入の根幹をなす市税が年々減少していること」 ←これが一番の問題点

 

資料7「秦野市(H13~R4市税の推移)」過去22年間

(秦野市)

2001年(246億円)→2022年(226億円)

マイナス20億円

 

質問11 

過去22年間、市税が減少してきた主な要因はなにか?

回答11(市民税課)

個人市民税は、全国的に課題となっている少子高齢化の進行により、税収の担い手となる生産年齢人口が減少しているため

土地に課税する固定資産税は、地価の動向と相関関係にあるが、この間本市の地価は、2008(平成20)年のリーマンショックをきっかけに下がり続け、それが固定資産税額に反映されたことによるもの

 

質問12(市民税課)

個人市民税の人口1人当たりの納税額はどのようか。また、政令指定都市を除く県内16市と比較して、本市はどの程度の位置となるのか。

回答12

本市における令和5年度個人市民税の1人当たりの納税額は57,800円

県内16市中13番目 ワースト4位

 

質問13 

本市の地価の県内順位を教えてください

回答13

本市の地価の県内順位ですが、今月公表された令和6年地価調査によると、市町村別の住宅地の1平方メートル当たりの平均価格は、本市は80,600円であり、政令市を除いた県内16市中14位となっています。(ちなみに15位→三浦市66,100円、16位→南足柄市53,600円です。)

県内16市中14番目 ワースト3位

 

そりゃ、個人市民税の一人当たりの納税額が県内ワースト4位で、平均地価がワースト3位なら、市税は少ないはず

 

他市との比較(H13~R4市税の推移)過去22年間

資料8  海老名 プラス49億円

資料9  伊勢原 プラス12億円

資料10 小田原 マイナス13億円

資料11 流山  プラス131億円

資料12 明石  プラス68億円

 

日本全体で考えると、「勝ち組」と「負け組」を生み出している

本市の一番の問題点は、こうした市税の減少や地価の低下を「全国的に課題となっている少子高齢化の進行により、税収の担い手となる生産年齢人口が減少」「リーマンショック」など時代背景や不況のせいにして、自分たちの施策をかえりみず、方針転換できない姿勢にある

 

同じ条件下でも「勝ち組」は存在するのだから、自分たちにできることにもっとフォーカスするべき

結果を出せていない組織ほど、外的要因のせいにする

 

(確認の意味も込めて)

本市歳入の最大の課題は、歳入の根幹をなす市税が減少し続けていること

 

資料13 令和5年度市税構成費(2023年)

市税の根幹をなすのは、個人市民税(40%)と固定資産税(42%)

 

質問14 

我々が施策でコントロールできるのは、個人市民税or固定資産税のどっちでしょうか?

 

回答14

質問15

個人市民税を増やすのにカギとなるのは15歳〜64歳までの生産年齢人口の増加?

生産年齢人口を増やすために、本市の施策でもっとも有効なのは、どれ?

回答10

①  移住の促進       ②小田急4駅のにぎわい創造 

②  表丹沢の魅力づくり構想 ④戸川土地区画整理事業

 

質問16

令和5年度の転入者による個人市民税への影響額はどのようであったか。

回答16

令和5年度の個人市民税における転入者による課税額への影響については、転入

6,330人のうち3,158人が課税対象となっており、総額で約3億1,20

0万円の増額となった(1人当たり約9万8千円)。

 

1人当たり→約10万円

100人移住→1,000万円

1,000人→1億円

2,000人→2億円(毎年2億円の個人市民税の増加、5年間で10億円増)

 

質問17

転入者のうち、今後の生産年齢人口を支える子育て世代の中心となる30歳代のみを抽出した場合の影響額はどのようであったか。

回答17

30歳代の転入者による課税額への影響については、転入者1,343人のうち8

72人が課税対象者となっており、総額で約9,362万円の増額となった(1人当

たり約11万円)。

 

一般的に子育て世帯といわれる30歳代だと、一人当たり→約11万円

 

「移住促進」「転入超過」は額実に個人市民税(税収)を押し上げる

だから、全国的に子育て世帯を呼び込もうと、どこの自治体も三つの無償化(医療費、保育料、給食費)を行って、競っているのが、今のフェーズ

 

①  18歳までの小児医療費(所得制限なし)の無償化

→本年度10月からやっとスタート、段階的だった、4年早くやるべきだった

 

②  保育料の無償化

→全国的には第1子の保育料無料、0歳からの所得制限なしの完全無償化

本市では、令和元年6月、0歳から2歳までの課税世帯の保育料の値上げ

時代に完全に逆行している、一貫したビジョンがないから施策に矛盾がある

 

③  小・中学校給食の無償化

→今年度4月から厚木市が実施、早くやるべき、これも他がやっているから本市で

もやるでは差別化が図れず、移住効果が少ない

このフェーズにおいて、本市は完全に出遅れた、抜きん出ることはできなかった

 

質問18 それじゃ、つぎのフェーズは何か? → 「人材の確保」

回答18


医療従事者、公共交通機関のドライバー、市役所の職員、保健師、介護士、保育士、学校の教員、農の担い手など

人がいなくなり、ベーシックな社会サービスが行えなくなったところから、どんどん「負け組」になっていく、そういうフェーズが、もうそこに来ている

エッセンシャルワーカーがいないところに、人は住めない、移住しようなどとは思わない

だから、子育て世帯の移住を促すと共に、エッセンシャルワーカーの移住を促す施策を打ち出し、人手不足な状態だけはなんとしてでも避けなければない

 

例えば、保育士等就労促進給付金

神奈川県保育士有効求人倍率「3」以上、人材獲得競争

市内在住者→20万円

市外から移住→20万円プラス20万円(住居費、引越費)最大40万円

平成30年に創設された給付金で、これまでの実績は5年で183人

しかし、この183人中、市外からの転入者はたったの7人だけ

だったらこの最大40万円をもっと増やせないのか?

 

10人移住して来れば、約100万円の税収増なのだから、この40万円にプラス5万円、プラス10万円はできないのか?

 

また、このような就労促進給付金を、保育士以外の医療従事者、公共交通機関のドライバー、市役所職員(通勤費)、保健師、介護士、保育士、学校の教員、農の担い手などを対象としたものへ拡大できないのか?

 

前回の一般質問「上小の学校給食へ地元産の有機米を導入する」という話

じゃ、誰が有機米を作るのか?

農の担い手として考えるのではなく、「子どもたちの学校給食のお米を作ってくれ

る人たち」と解釈して、会計年度職員として雇うことはできないのか?

会計年度職員として、採用すれば、一般的に低賃金といわれるエッセンシャルワーカーの問題を我々行政がコントロールできる(皆勤手当、練馬区4年ごとの契約)

雇用促進奨励金などのような形でも良い

 

「人手不足の解消」と「税収増」を同時に実現できる

→エッセンシャルワーカー移住施策

 

質問19

市職員の平均給与から計算した個人市民税額はどのようか。

回答19

令和4年度本市職員の平均給与収入627万9千円から一般的な控除を適用した

あとの個人市民税額は、一人あたり約17万6千円となる。なお、職員の平均年齢

は40.2歳となる。

 

「秦野市職員定員最適化計画」小さな政府 or 大きな政府

 

例えば、100人のエッセンシャルワーカー(移住が前提)を職員として雇う

(移住) 18万円✖️100人→1,800万円税収増

(人件費)600万円✖️100人→6億円

これじゃ、採算があわない、マイナス5億8,200万円

 

人件費は高い、ただし、人は確実に集まる、単年の税収としては少額だが、確実に(poco a poco)個人市民税を押し上げていく、そしてこの人件費、給与自体(6億円)が、地域経済の波及効果としても、実は公共事業へ投資するよりも、効果が大きいとなれば、話は別→これが「プランB」「ハードからソフトへ」

具体的には、新たな「開発」はやめ、普通建設事業10億円→義務的経費へ充てる

6億円はエッセンシャルワーカーの移住に使い

残りの4億円は小学校給食の無償化に使う

 

この投資がさらなる移住促進につながる「好循環」を生み出す!!



























 

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