【人手不足に対する各種団体との意見交換会のまとめ】
人手不足対策の話は、にぎわい創造、少子高齢化による生産年齢人口減少の問題、移住•定住施策等とごちゃまぜになって、結局最後は「とにかく若い人を増やそう」とか「街の魅力を高めよう」とか「本当に人手不足は起こるのか?」など
各自の感想を述べて終わってしまうケースが多い。
確かに、人口動態の変化が高齢化による労働需要の増加と、少子化による働き手不足の主な要因になっていることは間違いないだろう。しかし、大きなテーマであるが故に、話が一般論や抽象論に終わって良いはずがなく、身の丈にあった(一地方自治体にできる)具体的で効果的な政策提言を考えることが重要だ。
これまでの人手不足は、担い手不足、後継者不足、デジタル人材の不足といった産業・企業視点の人手不足だった。
例えば、UターンやIターンを狙った就職説明会開催の補助などの施策は、もうすでに多くの自治体が取り組んでいる。このような施策のあり方を、ある参加者に質問したところ「こういった補助はないよりはあった方が良い」と答えていたのが印象的だった。
しかし、これから起こる人手不足は、生活を維持するために必要な労働力が不足するという生活者の問題としての人手不足である。
例えば、老いた親の介護サービスが、前日や当日の朝に突然「スタッフの確保ができない」という理由で受けられなくなる。または建設現場の人手不足で生活道路がボコボコになるというような事態が起こりかねない。
我々地方自治体が取り組むべき課題は、後者(生活維持サービスの人手不足)であると考える。なぜなら、こうした生活維持サービスを保てなくなった自治体が負け組となっていくような時代がもうすぐそこに来ているからだ。
そのための対策として、私は下記の2点を提案したい。
①エッセンシャルワーカーの移住、定住促進
保育士等就労促進給付金制度のさらなる充実
介護士等就労促進給付金制度の新設
学校給食へ米を提供してくれる人、介護におけるヘルパーなどを会計年度職員として雇う(柔軟な発想)
②コミュニティ型クラウドソーシングとしてのデジタル地域通貨ポイントの活用
働きたい人(シニア、兼業、主婦のすき間時間)と労働需要(人手不足)をデジタル上でマッチングさせる仕組み作り、すき間時間で働く今話題の「タイミー」の地域バージョン、有償ボランティアバージョンのようなもの
これまでは無償のボランティアとして行ってきたものを、デジタルポイントで有償のボランティアとすることで活動自体を持続可能なものとする
(例)
こども食堂や不登校の子供たちの居場所づくりの活動
学校運営のサポート、PTA
農作業や自然保護などの活動
道路沿いや公園などの公共空間の清掃活動・掃除
周囲に住む隣人の手助け(草刈りや送迎など)
消防団、防犯活動、交通安全活動などの安全に関する活動
家族以外の高齢者や介助が必要な方の生活などの手伝い
パソコン教室など自分が詳しい何かを他人に教えるか活動
家族以外の子どもの子育てや育児の手伝い
民生委員や児童委員など、地域の人々の相談にのる活動
災害からの復旧、復興の支援
介護、医療施設の活動補助や運営の手伝い・参画
マンホールの点検、道路の陥没など老朽化したインフラのチェックを行う活動
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