今回の件、論点は二つあるかと思います。
選挙管理委員会に問い合わせ、僕なりの意見をまとめてみました。
論点1
令和4年1月23日に行われた秦野市長選挙にて、市長は、投開票日当日の午後1時28分、高橋まさかず公式LINEアカウントで自身への投票を呼び掛ける投稿をした。
論点2
令和4年3月16日に行われた秦野市議会本会議にて、市長は、露木順三氏(共産党)の一般質問に答え、高橋まさかず公式LINEアカウントの配信責任者が、関係者向けのメールを誤って本送信した、不注意による誤送信だったと認め、謝罪をした。
問1
選挙当日のSNS投稿は、公職選挙法の何条により禁止されているのか。
回答1
公職選挙法第129条の規定では、SNSの投稿に限らず、全ての選挙運動が行える期間は、候補者の届出のあった日から当該選挙の期日の前日まで、と規定されています。
問2
候補者本人以外の第三者がした行為であれば、公職選挙法上、本人は、何も関係ないのか。
回答2
第239条第1項第1号では、第129条(選挙運動の期間)に違反して選挙運動をした者は、1年以下の禁錮(こ)又は30万円以下の罰金に処する、と規定されています。
また、第251条の2第1項では、選挙運動の総括主宰者、出納責任者、候補者の一定の親族又は秘書が、第251条の3第1項では、組織的選挙運動管理者等が、第221条(買収及び利害誘導罪)、第222条(多数人買収及び多数人利害誘導罪)、第223条(候補者及び当選人に対する買収及び利害誘導罪)又は第223条の2(新聞紙、雑誌の不法利用罪)の罪を犯して刑に処せられたときは、当選無効、と規定されています。
結論1<市議会における市長の答弁が事実である場合>
市長自身が投稿を行ったわけではなく、LINE配信責任者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処するが、買収等を行ったものではないため、連座性(注1)は適用されず、市長は当選無効とはならない。
結論2<市議会における市長の答弁が事実と異なる場合(市長本人が投稿を行った場合)>
市長は黒、LINE配信責任者は白。
(まとめ)
仮に市議会における市長の答弁が事実であったとしても、本件は、公職選挙法における連座性の適用がポイントになる。しかし、本件は、LINE配信責任者が、買収等を行ったものではないため、連座性は適応外であり、市長は当選無効とはならないのではないか。もちろん、市議会における市長の証言を疑う市民の声も多数あり、その真偽を問う本格的捜査は即刻行われるべきである。いずれにせよ、新聞等で報道された以上、市長は記者会見を開くなど、市民への説明責任がある。
(注1)連座性とは?
Q 連座制とは、どのような制度ですか?
A 連座制とは、候補者や立候補を予定している人と一定の関係にある人が、買収等にかかわった場合には、たとえ候補者や立候補を予定している人が買収等にかかわっていなくても、候補者の当選が無効となったり、その選挙については同一の選挙区から5年間立候補できなくなる制度です。
●連座の対象は・・・
①総括主宰者
選挙運動の全体を総括主宰する人
②出納責任者
選挙運動費用の収支に関する権限をもっている人
③地域主宰者
一部地域の選挙運動を主宰する人
④候補者または立候補予定者の親族
候補者や立候補予定者の父母、配偶者、子、兄弟姉妹で、候補者等と意思を通じて選挙運動をした人
⑤候補者または立候補予定者の秘書
候補者や立候補予定者に使用され、その政治活動を補佐する人で、候補者等と意思を通じて選挙運動をした人
⑥組織的選挙運動管理者等 候補者や立候補予定者と意思を通じて組織により行われる選挙運動において、選挙運動の計画立案・調整を行う人、選挙運動に従事する人たちの指揮・監督を行う人、その他選挙運動の管理を行う人
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