日本は今、深刻な医師不足。
医師は都会に集まっているとお考えの方が多いようですが、人口あたりの医師数が最も少ないのは、埼玉県、千葉県、茨城県、神奈川県などの関東地方。確かに東京都の医師数は多いが周辺の県は全国で最も医師が不足している状況です。実はわが国の医師の分布は西高東低。人口当たりの医師数は、四国、中国、九州地区に多く、関東圏が最低レベル。医師が一番足りていないのは関東地方だなんて、多くの方のイメージとは正反対なのではないでしょうか?
その理由は医師養成機関である医学部が、圧倒的に西日本に偏在しているから。
人口398万人の四国には4つの医学部があるが、人口4260万人の関東には22の医学部(自治医科大学、防衛大学を除く)しかない。人口あたりで見ると2倍近い差がある。国立大学医学部に限れば、5つの医学部しかない関東とすべて国立大学である四国との差は9倍近くになってしまう。
関東の医学部の多くは私立大学。22ある医学部のうち、7割を超える16医学部が私立。私大医学部の授業料は高額です。6年間で4000万円以上かかるところもある。欧米と比べ、日本は奨学金制度が未整備なため、普通の家庭に生まれた子どもが、私大医学部に進学することは極めて困難です。この結果、西日本では、頑張れば普通の高校生が医学部に進学できるのに、関東では開業医などの一部の富裕層の子供しか医学部に進学できない(医師の世襲化)格差社会ができあがっている。
下記は人口10万人あたりの都道府県別の医師数(平成24年)。
一番多いのは徳島県304人、ついで東京都303人、京都府302人。
一方少ないのは、埼玉県149人、茨城県167人、千葉県170人、神奈川県195人。
埼玉県の医師数は、徳島県の半分以下。これは世界的にみると、南米のチリとほぼ同水準。チリと日本では高齢化の水準が違うことを考えれば、埼玉県など関東圏で救急車のたらい回しが日常的に起こっているのもうなずける。
死亡率は、70歳代半ばくらいから急上昇します。わが国で75歳以上の人口がピークに達するのは2050年代。2010年と同じレベルに戻るには、2100年まで待たなければならない。そう考えると、今後80年間、医師不足は深刻な問題です。<続く>
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