⑤少人数学級制実現の二つの方法と問題点
少人数学級制の実現には、二つの方法がある
1、義務標準法の改正による少人数学級
2、地方裁量による少人数学級
未来を担う子供の教育、本来なら国が全国一律公平にやるべき
国がやらないから、「不平等」を生む
教育費全体の7割〜8割を占める教職員人件費は巨額で
国は、その財政負担をできるだけ安く抑えようと努めてきた
そのため、予算をいかに確保するのかが、最大の焦点となる
資料10をご覧ください。教職員定数の決まり方
教職員標準定数=教員基礎定数+国庫加配定数
教員基礎定数=標準学級数 ✖︎「乗ずる数」(学校規模段階別)
法改正による少人数学級が実現すれば、1学級あたりの上限人数が抑えられる つまり、標準学級数(増)→教員基礎定数(増)→教職員標準定数(増)となり しかも、予算が伴う
毎年の財政折衝の結果、編成された単年度の予算額の範囲内でやりくりする
一般的な財政とは違い、政府は必要な教職員人件費のための予算をつけて
必ず自治体に財政保障をしなければならなくなる
これが「義務教育費国庫負担制度」
課題は二つある
①国庫負担率を1/2にもどす(今回の陳情)
「予算がともなう」と言いましたが
その根拠となる法律が、「義務教育費国庫負担法」
資料11をご覧ください
教職員の平均人件費✖️教職員標準定数✖️1/3=国庫負担額
2005年まで、国庫負担額は1/2だった→1/3
残りの2/3は、地方交付税算定の際に各都道府県の財政力に応じて、
地方交付税に反映されることになっているが、これは使途が限定されない
一般財源なので、教職員人件費に使われるとは限らない
昨今の地方交付税自体が減額される中で、国庫負担率が1/3になった
2006年度以降、地方教育財政がひっ迫するのは、当たり前
資料10に戻る
②「乗ずる数」の数値改善
少人数学級制により学級数が増えると、その分、学校全体での授業時間数が増え、
1教員としては、学級数が増えるほど授業担当コマ数がやや増える傾向にある
それでも、少人数化によるテスト採点やノート点検の業務の軽減など
現場からは、少しでも児童生徒の数を減らしてくれという切実な声もありますが、、、
ここで言いたいのは、
少人数学級の実現が、そのまま教員の負担軽減につながるとはいえない 「乗ずる数」の改善がなければ、教員の授業担当コマ数を減らすことにならない
資料12をご覧ください
<小学校>学級数と教員1人あたりの週平均授業担当コマ数
例えば総学級数6の小学校の場合、「乗ずる数」は1.292だが「1」は 学級担任数を「0.292」は担任をしない担任外教員数を計算している つまり、学級が1つ増えると、教員は約1.3倍に増える この小数点以下の「乗ずる数」で配置される教員が、 専科授業などを担当することにより「授業空き時間」を生み、 教員一人当たりの授業担当コマ数を減らすことになる
したがって、教員の長時間労働を解消するには 少人数学級制の実現とともに、この「乗ずる数」の数値改善がマスト
(質問6)
実際には、さらに国際教室やTTなど案件に応じた加配や、
県の予算の範囲内で加配教員が配置されるそうですが、
R3年度の秦野市全体の加配教員数を教えてください。
(回答6)
令和3年度の場合、秦野市の小学校で67人の加配教員、中学校で53人の加配教員が配置 されております。中学校の人数はここ3年間変化がありませんが、小学校の加配人数は 一昨年度から73人、65人、64人と変わっており、県の予算状況で年度により変わる ものです。
問題は、県の予算状況によって年度ごとに変わる加配の数
公平に教育に「ゆとり」をもたらすことができない
今回の小学校の4年生と6年生のように 年度によって、学年によって「不平等」感を生んでしまう しかし、現場が苦しいことを理解している教育委員会としては どうすれば、加配の教員を公平に配置できるのか、頭を悩ましている 加配という対処療法的、一時的な地方裁量による少人数学級ではなく 法改正による抜本的、恒常的な少人数学級の実現が望まれる理由はここにある やっぱり、国がやるべき
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