③現状把握
「教育予算」と「児童生徒数」の国際比較から
(1)教育予算
国と地方公共団体が教育に支出した金額が国内総生産(GDP)に対して占める割合
GDP比公財政教育支出が、OECD(経済協力開発機構)加盟国で最低水準
2017年:初等教育段階から高等教育段階まで日本は、2.9%
OECD平均は、4.1%
その差1.2%
近年の日本のGDPは550兆円を超えているので
たとえば、その1%の引き上げで、教育支出を5兆5千億円程度は増やすこと
ができる
0.1%の引き上げだけでも、5,500億円
資料4をご覧ください
学級編成の人数に応じて、必要となる教員数と予算を示したもの
35人学級制実施には、
約900人の教員 →国・地方合わせ約1500億円の追加予算
30人学級制実施には、
約4万6千人の教員 →国・地方合わせ約5000億円の追加予算
25人学級制実施には、
約8万8千人の教員 →国・地方合わせ約8400億円の追加予算
20人学級制実施には、
約11万人の教員 →国・地方合わせ約1兆円の追加予算
日本のGDPのわずか0.1%の引き上げで、5,500億円ですから
それで30人学級は十分実現できる
ちなみに、令和元年10月からの幼児教育・保育の無償化では、国と地方を合わせて
年間、約9000億円
それとほぼ同じ金額で、25人学級は実現できる
今後は少子化で児童生徒数はますます減少、教職員定数の「自然減」を
利用すれば、さらに少ない財政負担で、少人数学級が実現できる
(2)児童生徒数
資料5をご覧ください
OECD「図表で見る教育」
初等教育 OECD平均21.3人→27.2人
前期中等教育 OECD平均22.9人→32.2人
日本は他の先進国と比べて、1学級あたりの児童生徒数が多い
中学校はワースト1位
この統計は、日本全体の平均値
実際は、地域ごとに学級規模の状況はかなり異なる
R3年度秦野市小・中学校の1学級あたりの平均は
小学校 約31人
中学校 約35人
日本の平均値よりは、小・中とも3人ぐらい多く
神奈川県の平均値とほぼ一緒
OECD平均よりは、小学校で約9人、中学校で約12人も多い
比較ついでにもう一つ
市町村レベルでみる秦野市の教育予算は?
総務省、決算統計、令和元年度
<一人当たりの教育費、類似団体との比較>
秦野市 31,324円
類似団体 40,370円
(質問1)
本市の一人当たりの教育費が類似団体と比べて少ない理由は?
なぜこういう数字になっているのか?
(回答1)
まず、類似団体は、団体間の財政運営などを比較検討するために
用いられているものです。しかし、人口規模や歳出の決算規模の違いをはじめ、
自然的、社会的、経済的条件など各団体で大きく異なることから、
類似団体と比べた数値については、参考にとどめています。
ご質問の「一人当たりの教育費が少ない理由」は、ほとんどの類似団体で実施している、
中学校給食について、本市では、実施していないことが主な要因だと考えます。
具体的には、令和4年度には、食材購入など、年間の運営費だけでも約5億7千万円
を見込んでおり、これを教育費に加えた場合、一人当たりの教育費が3万1,324円
から、3,536円増えた3万4,860円となり、1割以上増えることとなります。
なお、類似団体ではなく、県内16市と比べてみますと、令和元年度決算に占める
教育費の割合は、本市は、上から7番目となることから、平均的な教育費への
予算配分はできていると考えます。
①執行部は類似団体を参考程度に留める理由として、人口規模や歳出の決算規模の 違いをあげている 確かに決算規模の大きいところは、ある一定のスケールメリットが考えられる しかし、類似団体全てが本市より決算規模の大きい市町村ではあるとは限らない また、人口規模に関しては、人口で割って、一人当たりの数字を出しているので、 類似団体は、ある一定の客観的なデータであると考えられる ②次に一人当たりの教育費が少ない理由ですが、 中学校給食を実施していないことが主な要因だとおっしゃられた 令和4年度からは、食材購入など、年間の運営費だけでも約5億7千万円を 見込んでいる 「年間の運営費だけでも5億7千万円」って、あたかも、他にさらにプラスされる 要素があるような表現を使われていますが、、、 中学校給食を実施する上で、この運営費5億7千万円の他に、さらに 他の費用が発生するのですか? 給食センター建設の費用はすでにここに含めれているとお伺いしましたが、、、 しかし、それを加えたところで一人当たりの教育費は3,536円増える にしか過ぎない 秦野市の一人当たりの教育費が、3万4,860円になるだけで 依然として、本市の一人当たりの教育費は5,510円、類似団体よりも少ない 逆にいうと、 本市は教育費にあとプラス8億円ぐらい使わないと、類似団体の平均値にはならない ③最後に県内16市との比較 「上位7番目」と表現されていたが、、、 一般会計総額に対する教育費の構成比を比較すると、 県内16市の平均10.3%に対して、本市は10.4% 資料6をご覧ください 秦野市の一般会計総額に対する教育費の構成比の推移 教育費の全体に占める構成比はずっと減少傾向 日本の教育費は、OECD平均より対GDP比で1.2%少なく 国内の類似団体と比べて 本市の一人当たりの教育費は、現状で約9000円少なく 「県内上位7番目」と表現された県内16市比較でも、 令和元年度は、たまたま西中学校体育館の整備事業費など大型の建設事業があった そのおかげで、全体に対する教育費の構成比は10.4%であったが その前年の2018年(平成30年度)は9.15% 執行部と同じ表現を使えば、これは「県内16市でワースト7位」 2、3歩譲って、たとえ「県平均」だとしても、 世界基準、国内基準、県内基準と比較して 「秦野市は教育に積極的にお金をかけている市町村ではない」と断言できる
資料7(目次)へ
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